非上場を貫き「挑戦」を止めない。アイリスオーヤマが求める、自らアクションを起こす力とは

さよなら就活対策

「貴重な大学生活を“就活対策”で消耗していませんか?」

誰も教えてくれない 「面接の裏側」 を紐解き、これからの大学生活を問い直す“面接官の告白”。

今回インタビューしたのは、家電、食品、日用品から法人向けのLED照明やサービスロボットなどBtoB事業まで、多岐にわたる事業展開で知られるアイリスオーヤマ。

時代の変化に合わせ、独自の進化を続けるアイリスオーヤマは、新卒採用において学生をどのような観点で見ているのでしょうか。

人事部で新卒採用を担当している石井さんに「あえて「非上場」という道を選んでまで守り抜く「独自のカルチャー」や対面の対話で大切にしている「相互理解」へのこだわりを伺いました。

採用において大事にしているポイント

Q.新卒採用におけるこだわりを教えてください。

アイリスオーヤマが最も重視しているのは、「カルチャーにマッチするかどうか」です。

弊社は、1万人を超える大規模グループ企業でありながら、あえて“上場しない”という選択を貫いています。これは、短期的な利益を求める株主に縛られることなく、世の中の変化に即応して「常に挑戦し続ける」ためです。株主からのプレッシャーがない分、社員一人ひとりが自由な発想でアクションを起こせる。つまり、「まずやってみる」が許される風土があります。
だからこそ選考で見ているのは、スキル以上に「挑戦を楽しめるかどうか」。

・指示を待つのではなく、自ら一歩踏み出せるか。
・この経営姿勢に共感できるか。

それが、私たちにとっての“カルチャーフィット”です。

そして、このフィット感を確かめるためにこだわっているのが、「直接会うこと」です。

オンラインやAIが進む現代ですが、入社後の仕事の多くは対面です。画面越しでは伝わりきらない実際の人柄や姿勢、醸し出す雰囲気を直接確認したいと考えています。

選考を単なる「評価の場」ではなく、対面でのコミュニケーションを通じた「相互理解の場」と捉えることで、入社後のギャップをなくし、共に長く活躍できる仲間を求めています。

選考での評価の観点

Q.選考フローを教えてください。

選考は、エントリーシート(ES)→録画面接→SPI→個人面接→最終面接の5段階で行われます。

各フローで重要視しているポイントは以下です。

ES: 過去の経験から、要点をまとめる力。
録画面接: 90秒という限られた時間の中で、エピソードをいかに言語化し、要点を押さえて伝えられるか。表情や話し方からにじみ出る人柄も含めて確認。
• SPI:合否を大きく左右するものではないが、「カルチャーマッチ」や「会社の親和性」。
面接:過去の経験から、今の志望理由や将来やりたいことまでが、一貫したストーリーとして語れているか。

Q.どのフローにおいても共通している観点は何ですか。

一言で言えば、「チャレンジし続ける」姿勢です。

指示待ちではなく、自らアクションを起こす姿勢はどの選考の中でも大事にしています。
職種別でいうと、

●    営業職であれば、目標から逆算し、数字に向き合えるか
●    企画職であれば、全体を俯瞰しながら分析し、一つの価値を生み出せるか

といった要素も確認しています。

Q.アイリスオーヤマが定義する「挑戦」とは?

私たちが求める「挑戦」は、派手な成果のことではありません。大切にしているのは、次の3つです。

主体性:「やらされた」のではなく、自分の意思で動いたか。
継続力:壁にぶつかったときに、どう向き合い、試行錯誤し続けたか。
プロセス:結果以上に、置かれた環境の中で何を考え、どう動いたか。

例えば、部活動で監督の指示に従うだけでなく、部員同士で戦術を話し合い、自ら提案し、結果につなげたというエピソードは、私たちのカルチャーと強く重なります。

長く物事を続ける中で見えてきた課題に、どう立ち向かったのか。そして、自分なりにどう解決しようとしたのか。その姿勢を、私たちは見ています。

Q. 最近、録画面接が増えていますが、実際何をみているのですか?

録画面接を導入している主な理由は、「文字だけでは見えない人柄」と「要点をまとめる言語化能力」の2つを確認するためです。

まず一つ目は、人柄。エントリーシート(ES)はどうしても、内容が似通ってしまうことがあります。その点、録画面接では表情や話し方、間の取り方、雰囲気など、文章だけでは伝わりきらない「その人らしさ」が見えてきます。私たちは、そこを大切にしています。

二つ目は、90秒で伝える言語化能力です。弊社の録画面接は90秒という制限時間があります。この限られた時間を目一杯使い、自分のエピソードをいかに要領よく整理し、「要点を押さえて言語化できるか」を評価しています。ここで発揮される言語化能力は、その後の対面による個人面接や最終面接で深い対話を行うための土台となるため、非常に重視しているポイントです。

Q.志望動機ではどのような点を評価していますか。

面接では、「なぜ今、当社を受けているのか」「入社して何を成し遂げたいか」を徹底的に深掘りします。

単に「家電が好きだから」「有名な企業だから」という表面的な理由ではなく、当社のビジョンや多角的な事業展開を理解したうえで、それを自分事として捉えられているか。そして、「自分はここで何をしたいのか」を自分の言葉で言語化できているかを重視しています。

また、もう一つ大切にしているのが、変化に対応できる柔軟さです。弊社は総合職採用で、多くの事業(カテゴリー)を持っているため、就活時点で描いた職種がそのまま叶うとは限りません。それでも、入社後に挑戦を続け、自分のやりたいことを言語化し続けられる人には、社内でジョブチェンジ(社内転職)できるチャンスがあります。

弊社は、家電や家具だけでなく、食品、法人向けのLED照明やサービスロボットなども行っているため、多様な領域の仕事に挑戦できる環境があります。だからこそ就職活動の段階では、職種にこだわりすぎず、柔軟な考えを持って企業選びをしてほしいと思っています。

そのうえで入社後も、「自分は何を成し遂げたいのか」「何を磨いていきたいのか」を問い直し、更新し続けてほしいと考えています。

お見送り例

Q.お見送りとなるケースには、どんな特徴がありますか?

私たちは、選考を「相互理解の場」だと考えています。そのため、アイリスオーヤマについて適切に理解いただけていない場合や、企業理念を誤って捉えている場合は、お見送りになることがあります。

たとえば、「挑戦」という言葉を成果主義や厳しさだけの側面で捉えてしまうと、当社のカルチャーとの認識にズレが生じてしまいます。ただし、理解の不足や認識のズレのみで即座に「お見送り」と判断するわけではありません。これまでの経験やカルチャーフィットによって補えると判断できれば評価は変わることもあります。

大切なのは、「どれだけ本気で向き合ってくれているか」。採用マイページのコンテンツやイベントなど、当社が発信している情報にどれだけ目を通し、理解しようとしているかは自然と伝わります。

選考は、企業が学生を見極める場であると同時に、学生が企業を見極める場でもあります。その前提で、しっかり準備をしてきてくれる方とは、より深い対話ができると感じています。

重要視しているフィット

Q.3FIT( テーマフィット・カルチャーフィット・スキルフィット)の切り口では、特にどれを重視して採用していますか?

最も重視しているのは、カルチャーフィットです。

当社は、意図を持って非上場を貫いています。それは、短期的な利益に縛られず、世の中の変化に柔軟に対応し続けるため。だからこそ、変化を前向きに受け入れ、自らチャレンジできる人かどうかが重要になります。企業理念を軸に、挑戦を楽しめるか。ここがフィットしているかどうかが、活躍できるかをどうか左右する要素と考えています。

次に大切にしているのが、テーマフィットです。

たとえば、当社の理念の一つにある「生活提案型企業として市場を創造する」という考え方。ここでは、相手の立場に立ち、顧客を創造する視点で物事を考えられるかを見ています。

「常に未完成であることを認識し、革新成長する」という姿勢。ここでは、現状に満足せず、「もっと良くできないか」と問い続けながら挑戦していきたいというテーマを持っているかを重視しています。

何が起こるかわからない時代においても、目の前の課題を解決するだけでなく、先を見据えて動こうとする人は、当社とフィットすると感じています。

ハタチ世代へのメッセージ

 

Q.最後に、ハタチ世代に向けてどんなことを伝えたいですか?

学生時代には、ぜひ「コト消費」を積み重ねてほしいと思います。

社会人よりも自由に使える時間が多いのが、学生という立場の特権です。旅行に行く。知らない人と話す。自分と違う価値観に触れる。そうした体験の一つひとつが、将来、自分の判断や挑戦を支える“土台”になります。

就職活動でも、最初から選択肢を絞りすぎないこと。幅広い業界や企業を見ることで、「こんな世界もあるんだ」と気づく瞬間があります。その気づきが、自分のテーマを磨いてくれます。

今はまだ、未完成でいい。だからこそ、動きながら、自分の可能性を広げてほしいですね。

編集後記

「やりたいことが決まっていないと、就活は始められない。」

そんな思い込みを、少しだけやわらかくしてくれるインタビューだったように感じます。

アイリスオーヤマが大切にしているのは、完成された答えよりも、「自分で考え、動き続けようとする姿勢」。

大きな成果よりも、
●    日々の中で感じた違和感に向き合えたか。
●    うまくいかなくても、試行錯誤を重ねられたか。

それが、挑戦のはじまりなのかもしれません。

小さな感情から目をそらさず、そのプロセスを自分の言葉で語れること。
それこそが、就活で胸を張って話せる“あなたらしい材料”になっているはずです。

また、今回実際にオフィスを訪問させていただいたのですが、「自分で考え、動き続けようとする姿勢」を空間からも感じました。お客様への挨拶一つにも、空間づくりにも、細やかなこだわりが息づいている。生活者の視点に立ち、どうすればもっと心地よくなるか。どうすれば新しい価値を届けられるか。そんな問いが、日々の振る舞いの中に自然とにじんでいました。

挑戦とは、特別な何かではない。目の前の当たり前を、より良くし続けること。アイリスオーヤマならではの強みを、肌で実感した時間でした。